子どもたち一人ひとりは、素晴らしい個性と能力とをもって生まれたかけがえのない存在です。上野毛幼稚園では、先生が教えてしまうのではなく、「子どもが自分を発見する時」を大切にしています。教育とは元来、何かを教え込むことではなく、子どもがもつ独自のタレントを見つけ引き出すことだからです。自分で考え、行動することは、小学校に進学し、さらには中高大と進み社会に出てからも活躍できる、生きる力の源になるはずです。
上野毛幼稚園は80年以上の豊かな歴史と伝統をもっていますが、幼稚園の時代は「愛をたくわえる時」でもあります。学園生活のさまざまな場面で自分が大切な愛される存在であることを実感した子どもたちは、成人後も他者とのかかわりを通して各分野で活躍しております。自己肯定感が高く、自分の可能性を信じ、未来への希望を持ち、社会に貢献する喜びをもつ子どもたちを育てること、それが教職員の願いであり祈りでもあります。
1946年宮城県生まれ。國學院大学卒業後、1970年に横浜雙葉中学高等学校に勤務。その後上智大学大学院で学び、国語と宗教を担当。宗教部長、教務部長、教頭を経て、2005年に校長就任。2017年、横浜雙葉学園の理事長・学園長に就任し、学園の発展に寄与。2023年11月、瑞宝小綬章を叙勲。
この度、園長に就任した吉田英也です。よろしくお願いします。
歴史と伝統のある上野毛幼稚園を、さらに発展させ、入園してよかった、卒業してよかったといっていただける幼稚園にしてまいりたいと思います。
私自身は、長く中学高等学校・小学校で教育に携わってきました。その中で、小学校入学前の幼児教育が大変重要だと考えるに至りました。小学校以降に伸びていく子どもたちは幼児期にきちんとしたしつけを受け、さまざまな経験の中から自分で考え、何事もやってみようという意欲にあふれた子どもたちです。その土台をつくるのに大事なのが、幼児期の教育です。しかし、だからと言って何か特別なことをしなければならないわけではありません。きちんとあいさつができる、相手の気持ちを想像できる、人の嫌がることをしない、お友達と仲良くできるなど、あたり前のことがあたり前にできることが大事です。こうしたことができる力こそが、「生きる力」です。上野毛幼稚園は、「生きる力」を持った人材の礎を築く幼稚園でありたいと思います。
1955年福島県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、1979年に洗足学園中学校・高等学校の社会科教諭となり学年主任、教科主任、入試広報委員長などを歴任。全国有数の進学校への発展に大きくかかわる。2010年、洗足学園小学校の校長に就任。2023年、校長を退任し、現在は学校法人洗足学園理事。主な著書『心を育てる中学受験』(中央公論新社、2024)。